団長さんのカングーの試乗レポート・評価

投稿日： 2018-07-07 23:19:20.0

ルノー

カングー

2009-09-01 00:00:00.0 発売

このクルマを一言で表すと？

団長
明るく小粋な快速実用車

このクルマの評価

総合評価
4.3
外観デザイン
4.0

インテリア
4.3

走りやすさ
4.3

カングーについてのオススメポイント

〇広く明るく伸びやかな室内
〇1200㏄＋ターボは快速
〇ルノー伝統の快適シート
〇柔らかくてコシのある脚周り

私はカングーゼンの６MTを試乗しました。スライドドアをもち、かつマニュアルシフトの車を探すと必然的にカングーとなりました。
〇走行性能
1200＋ターボは日本の実用走行域において全く不足のない走りをもたらします。比較的重めのボディですが、クラッチは軽く、シフトも気持ちよく決まります。1速から気持ちよく加速が伸び、2速3速とシフトしていくとどんどん加速が乗っていく様は、小粋なフレンチハッチを思い浮かべさせてくれるほどです。この車は本国では実用車として、仕事で使う人たち（郵便局員の方々だそうです）の意見が随所に取り入れられているそうで、結果としてこの車の使い勝手を良くしています。この運動性能も、重たい荷を積んでもしっかり走る事を考えられている事からでしょう、比較的どっしりとしています。しかし、窓の大きい明るい室内と低速トルク重視のギア比が重たさを感じさせない走りを実現しています。

〇操縦安定性
フランス車の脚は、比較的柔らかい方に属するといわれています。実際カングーの脚はドイツ車のそれとは全く違い、脚を柔らかく動かすことでショックをいなす傾向にあると感じました。背の高いボディですが、日本の一般国道などで少々荒れた道を走っても、サスペンションが上手く振動を吸収しています。もちろん、上屋であるボディも多少の揺すられはありますが、その揺れは一発でおさまる事。また、1800mmを超える車幅によってより振動をうまくいなし、安定方向に振られている事も分かります。ハンドリングは正確で、ゲインは低めでありながら、中央付近の遊びは少ない方です。しかし、切り込んでも穏やかな脚周りが急なロールを抑えているので怖さを感じることはありません。リアの懸架方式はトレーリングアームと、決して珍しいものではありません。しかし、後席が空車時や空積載でもバタつくことがなく、どっしりした乗り心地です。

〇その他
特筆すべきはエンジンの静かさです。試乗前は、ワゴンボディであることもあって静粛性には期待をしていませんでした。しかしながら、エンジンは振動が少なく、加速をしても音が室内にこもるようなことはありませんでした。ロードノイズは残念ながら少々大きめに感じましたが、決して不快なものでありません。むしろエンジンが静かだからこそでしょう。とにかく重厚で静か、かつトルク感あふれるエンジンはこの車に高級感さえ感じさせる程でした。

窓が大きく明るい室内は解放感を与え、シートは5人がそれぞれきちんと座れる独立型となっています（後席中央席もベンチ型ではありますが、独立しています）。コシのある座り心地のシートが、長距離移動においても乗員の疲労感軽減につなげています。もちろん、街中での揺れの吸収においてもこのシートは貢献しているでしょう。

攻撃的なフロントデザインの車が多い中、どこかユーモラスなデザインのカングーは、威張りとは無縁の世界にいます。いわゆるオラオラ系デザインの車が多い中で、これはとても貴重です。カングーユーザーもこの車で威張ろうなどという考えは端からないでしょう。むしろ、ユーザーそれぞれが個性に花を添え、楽しく乗っている車。クルマって本当はもっと明るくて、楽しいものではないか。運転って、もっと楽しいものだったはず。カングーは、現代における車が置いてきてしまった何かを取り戻させてくれる、そんなクルマです。

カングーについての不満な点

エアコンが少々パワー不足に感じました。元々窓が大きいため、どうしても直射日光を受けやすくなってしまうなど、熱射に対しては不利な面があると思います。しかし、試乗日は真夏であるものの曇り空の日。温度は20度設定にしましたが、暑くはないなという程度の利きでした。風量は十分ありますが、冷却という事では少し不足気味に感じました。この試乗車単体のものなのか、全体的にそうなのかは判断しかねますが、国産車のよく冷えるエアコンと比較すると、冷却面が少し足りないように思いました。

カングーを運転した後の感想

乗る前と乗った後、クルマのイメージは同じでしたか？
理由:

もっと車重が軽く、バタバタすると思っていた事。また、1200ターボエンジンということで、元気よくまわるぶんだけ、遮音性はあまり期待をしていませんでした。しかし、どちらも良い意味で裏切られました。ボディは重厚、エンジンは低速でトルクを出しながら、不快な振動を室内に与えずに回ります。
運転後の感想について
安楽な運転で、威張ったデザインで周りを蹴散らしていく…そんな走りの車を残念ながら見かけることが多くなりました。でも本来、運転とはとても楽しい動作であること。ドライバーが思いのままに操れて、家族は後ろで一緒に楽しく過ごせる。そう、自分で買う車だからこそ、ドライバーが主役でありたい。でも、家族にとっても快適な車が欲しい。その両方を兼ね備えた車がカングーではないでしょうか。