kooh555さんのミニの試乗レポート・評価

投稿日： 2014-05-25 01:30:36.0

ミニ

ミニ

2014-04-01 00:00:00.0 発売

このクルマを一言で表すと？

kooh555
ゴーカートフィールはどこへ？

このクルマの評価

総合評価
3.5
外観デザイン
3.4

インテリア
3.7

走りやすさ
2.7

ミニについてのオススメポイント

先日、新型MINIのクーパーに試乗してきましたのでここで感想を書かせていただきます。
本モデルでBMW製となってから3代目です（ちなみに私はBMW製の初代クーパーコンバーチブルに乗っております）が、丸みを帯びすぎて男性が乗るのはちょっと腰が引けてしまう2代目に比べて、やや精悍な意匠に戻りました。
エンジンも刷新され、クーパーSが２ℓ直列４気筒ターボ、クーパーが1.5ℓ直列３気筒ターボを搭載しているのですが、私が興味を引かれたのは後者の1.5ℓ直列３気筒ターボでしたので、ディーラーさんにお願いしてクーパーを手配していただき試乗しました。
「直墳ターボ（＋ミラーサイクル）」「直列3気筒」となれば、欧州コンパクトカー事情に詳しい方なら皆さん興味を惹かれる組み合わせでは無いでしょうか？
加えて１．５ℓの排気量。これまで毎年の納税時期になると＋１００ｃｃの超過に泣かされていたＭＩＮＩオーナーとしては「とうとう日本の税制に配慮してくれたのか！」と万感の思いです（そんなワケは無いでしょうけど）。

トランスミッションは6MTとCVT、サスペンション形式はFrがマクファーソン、Rrがセントラルアーム、ステアリングはコラムアシスト方式と基本コンポーネントに関しては先代からの変更はありません。それがMINIの伝統なのでしょう。
ただし、内装はMINIらしさを継承しつつも変わりました。伝統であったセンターメータですが、ここにナビ＆インフォティメント画面が収まるため、ステアリングコラム上に移動しました。
私のMINIはクロノパッケージのため、もともとメータ類がコラムの上にあるので特に違和感はない（どころかしっくりくる）のですが、センターメータも数あるMINIのアイデンティティの１つだったので、残念に思われる方もいるかもしれません。
このセンターモニタ、縁が発光するようになっているのですが、エアコンなどのダイアルスイッチを動かすとそれに連動して発行箇所が動きます（円形の縁の一部分だけ別色に発光していて、ダイヤルを回すとそれにあわせて発光点が動く）。いかにもMINIらしい遊び心のある演出です。
その下には、真っ赤にペイントされたトグルスイッチ型のエンジンスタートボタンがあります。これがまたカッコイイ！
最近ではプッシュスタート式が一般的になってきましたが（あれも出た当初はカッコイイと思いました）、やっぱりトグルスイッチ式は断然かっこいいですね。トグルスイッチがわからない方は、飛行機のコックピットでパイロットが発進準備をしている姿を思い浮かべてください。あのとき、棒状のスイッチをいっぱいパチパチやってると思いますが、あの形のスイッチがトグルスイッチです。
つまりトグルスイッチでエンジン始動＝パイロット気分なのです。（男性にしか気持ちはわからないかも）
ペダルスペースも奥に広い上に、ステアリングのチルト、テレスコ量も十分にあり、身長182cmの私でもちゃんと適切なドライビングポジションが取れます。これが輸入車の良いところですね。

発進するとすぐに1.5ℓターボエンジンのトルクを感じることが出来ます。ターボと言っても一昔前のように最高出力のアップを目指すものではなく、吸気バルブ遅閉じ（高膨張比化による熱効率アップ）したことで失われる低速トルクを補填するためのターボ（これがダウンサイジングターボの定義）なのですが、正直、先代の1.6ℓＮＡとは比較にならないくらいパワフルです。
最大トルクは220Nmですが、これが1250rpmから掛かります。これは同じ回転数でなら昔の280馬力級の２ℓターボエンジンを上回る数値です。このトルクで1170kg（MT値）と昨今では軽い方に入る車体を押すのですから爽快でないはずがありません。
最高出力は136馬力なのでそのままどんどんトルクが増大していくことはなく、回転数が上がるとトルクは落ちていくのですが、1.5ℓの排気量のおかげでそれをあまり感じさせません（他社製ですが1.2ℓだと出だしは良くても、その先でパワー不足を感じることがあります）。高速での走行はしていませんが、あまり心配はないと思います。

繰り返しになってしましますが、1.4でも1.2でもなく1.5という税制区分いっぱいまで使いきった排気量設定で、かつその排気量のなかで最大のパフォーマンスを引き出し、さらにエコなエンジンを搭載した車を購入することができるというのがなんとも喜ばしいです。

ミニについての不満な点

<エクステリア>
2代目にくらべて精悍な印象になったのは確かなのですが、真横から見ると．．．ノーズが長い．．．こんなのMINIじゃない！
車両の前周りは衝突安全性能や歩行者保護性能の要求からたくさんのスペースを確保する必要がある中、空力とスタイリングを両立させるための苦肉の策であったことは伺えるのですが、でもやっぱりMINIじゃない。
そうやって考えてしまうと、公式HPに側面からの画像があまりなかったのも何かしらの意図を感じてしまいます。

<インテリア>
インテリアはほぼ満点！と言いたいところですが、残念な点がありました。
まず、ルームミラー。大きすぎるのと位置が低いため左側の視界がかなり遮られます。それから、ダッシュパネル中央の上部にある上側のエアコン噴出し口の樹脂カバーですが、約70km/hあたりでビリビリ鳴ります。
実はどちらもBMW製MINIでは初代から共通の事象なので、MINIオーナーからすれば「MINIってこんなものだよ」と気にならないかもしれませんが、そうでない方は「300万に近い金額の車なのに」と思うかもしれません。
なによりも初代からある欠点が3代目でも改善されていないのが残念です。

<エンジン>
上に書きましたようにパフォーマンスは申し分ないのですが、とにかくウルサイです。
現行のMINIもエンジン音は大きく野太いので、MINIらしさの演出なのかもしれませんが、現行の音は直列4気筒だからサウンドとして楽しめたのです。
直列３気筒は４気筒とは異なり、どうしても「どのシリンダーでも爆発が起きていないタイミング」が発生してしまうため、バランスが悪くエンジン音もリズムが悪いものになるのでノイズにしか聞こえなくなります。
各メーカーともそれは重々承知で、「いかに振動を打ち消すか？」という課題を念頭に、さまざまな工夫をしています。3気筒の競合車（プジョー208、フォードフィエスタ）のエンジン音はもっと小さかったです。
それらと比較すると、今度のMINIのエンジン音は「MINIはエンジン音が大きめ」という世間の認識に甘え、努力を怠ったような印象を受け、決してよい演出とは感じられませんでした。

<トランスミッション>
最も残念だったのがCVTのオートマチックトランスミッションでした。
CVTなのでレスポンスに関しては目をつぶってはいたものの、その制御がまったくエンジンとマッチしていませんでした。
例えば、60km/h、2000rpmで巡航中に増速しようとアクスルペダルを踏み込みます。
エンジンは低速トルクが十分にあるので、こちらの意思としてはそのままターボを効かせて加速してほしいのですが、このようなケースの全てですぐにシフトダウン（CVTに段数もなにも無いでしょうが、なぜか段数があるような演出をするのでこちらもそれに乗っかって表現します）してしまい、さらにトルクが落ち込みはじめる4000rpmよりも上にタコメータの針を追いやってしまのです。これでは燃費などよくなりゃしません！
エンジンの特性、ダウンサイジングの考えからすると全く理解不能な変速制御です。「このトランスミッションは、まだ1.6ℓNAエンジンが搭載されていると勘違いしているのではないか？」と心配になる程でした。

<サスペンション>
操舵に対する反応速度と反応量は十分なのだと思いますが、私がMINIで一番気に入っていたダイレクト感がどこかへいってしまってました。
MINIの走行特性を表す言葉として、よく「ゴーカートフィール」というのが使われていますが、私はこれを「操作に対するダイレクト感」を指すと解釈しています。
操舵に対する反応が少ない、遅いわけではなく「レスポンスが良い」部類には入るのは間違いない思いますが、「ダイレクト感」を一切感じることができませんでした。
この原因が、電動パワーステアリングの制御なのか？、コーナリングパワー値が低いタイヤなのか？、実際にサスペンションの特性がマイルド指向になっているのか？まったくわかりません。

ミニを運転した後の感想

乗る前と乗った後、クルマのイメージは同じでしたか？
理由:

不満点に書きました様に、トランスミッションとステアリングのダイレクト感がまったく期待はずれでした。
運転後の感想について
ひょっとしたらMT仕様車に別のタイヤ（PIRELLI P-ZEROクラスが望ましい）であれば良くなるのでしょうか？
そのような機会が得られれば乗ってみたいと思いますが、現状のままだと「買うのも他人に進めるのもちょっと」といった判定になります。