kooh555さんのアクセラスポーツの試乗レポート・評価

投稿日： 2014-03-15 13:21:11.0

マツダ

アクセラスポーツ

2013-11-01 00:00:00.0 発売

このクルマを一言で表すと？

kooh555
欧州Cセグメント勢への真の対抗馬

このクルマの評価

総合評価
4.1
外観デザイン
3.8

インテリア
4.1

走りやすさ
5.0

アクセラスポーツについてのオススメポイント

何と言ってもXDに搭載されたSKYACTIVE-Dでしょう。
ディーゼルを感じさせない静かさでディーゼルならではの大トルクが楽しめます。
SKYACTIVE-G＆SKYACTIVE-Driveの2.0LガソリンAT仕様と、SKYACTIVE-D＆SKYACTIVE-MTのディーゼルMT仕様の2種類を試乗しましたが、断然良いのは後者です。
最初に試乗した2.0LガソリンAT仕様が、「エンジントルクはそこそこあるものの、巡航から加速に転じる際に生じるロックアップまでのレスポンスの遅れが気になる」といった状態だったのですが、SKYACTIVE-MTでは当然そのような遅れはなく、ディーゼルの大トルクで「シートの背中が押し付けられる」加速が味わえます。
欲を言えばシフトはもうちょっとショートストロークの方が良かったのですが、そもそもトルクバンドが広く、シフトチェンジにシビアになる必要がない（何速からでも加速します）ので気にならない方がほとんどだと思います。
ブレーキも、国産車にありがちな「ダスト抑制ために硬くしたパッドで制動させるためにブースト力を大きくした結果コントロール性がスポイルされた」いわゆるカックンブレーキではなく、踏力にたいする制動力の立ち上がりが素直です。
踏み側と抜き側の反応も同じ（これが肝心！）で、コントロールしやすかったです。前述したようにこの性能とトレードオフにあるダスト発生はそれなりの距離を走らないと判りませんが、昨今はパッドの性能も良くなっているのでそんなに出ないのかも知れません。
ステアリングはとうとう完全電動になってしまいましたが、それなりに自然なフィーリングになっていると思います。たしかに緩Ｒのカーブを70～90km/hで曲がるような「ステアリングの据わりの良し悪し」が前面に現れてくる場面では電動特有の不安定感を多少感じますが、あくまで油圧と比較しての話です。
そもそもステアリング性能自体がステアリングシステムだけでは完結せずFrサス全体が関わってくるので、アシストタイプが電動か油圧かで判断すること自体がナンセンスなのですが、上記の感想は「油圧だったらもっと良いのだろうな」と感じた結果であり、そのように感じることができたのですからFrサスのレベルはかなり高いと思います。
個人的には所有する３台中２台が油圧なので油圧の方がしっくり来るのですが、電動には電動のメリットがありますし、（この車には備わっていませんが）ステアリングアシストのような電動にしか出来ない芸当も今後は標準装備があたりまえになってくる（現時点でも、同クラスのGOLFとV40にオプション装備）ことを考えると、電動をモノにして行って欲しいと期待します。
動力性能だけでなく、アイドリングストップの上手さも感心させられました。
アイドリングストップ機能はどうしても「発進時に邪魔をされる」感覚があり好きではないので、試乗する際や自分の車でも常にOFFにしているですが、SKYACTIVE-MTの場合はクラッチペダルを踏み込むとエンジンが再始動するシステムになっており、アクセルペダルを踏んで発進しようとする時にはエンジンの始動が完了しているため全く邪魔にならず、結局最後までアイドリングストップONのまま試乗していました。
この「クラッチペダルを踏み込むとエンジンが再始動」という条件はなかなか良くできていて、アイドリングストップ車によくある「信号待ちの間、ブレーキペダルを踏み続けなければならない」苦痛とは無縁なのです。
さらに、この機能はアイドリングストップ機能でのエンジン停止時以外でも有効で、万が一エンストしても、クラッチペダルをすぐ踏めばエンジンが再始動してくれるのです。
この機能によって、MT慣れしていない人のハードルはかなり下がっているように思えます。

忘れてならないのが安全装備です。
自動ブレーキだけでなく、全車速追尾式オートクルーズ、ミリ派レーダーによる車線変更時の後方監視（後方50mの範囲まで検知）、車線逸脱監視等がXDでは標準で備わっています。
さらに、もっと背高のミニバンでもオプション扱いがあたりまえのカーテンエアバックが標準で装備されている点も素晴らしいと思います。
また、インプレッサでは全車速追尾式オートクルーズや自動ブレーキがATにしか付かないのに対して、アクセラはMTでも使用可能であり（もちろん停車→発進はできませんが）、「国産のMT車で高速道路を楽に安全に走りたい」というニーズを満たす車は現在アクセラしかありません。
他社がそうなので、アクセラでも「MT車には設定がない」と言えたかもしれないにも関わらず安全装備で差別をしなかったマツダの姿勢は賞賛に値すると思います。

現行の国産Ｃセグメントで一番の買いは間違いなくアクセラです。

アクセラスポーツについての不満な点

絶賛したXDですが、今のところ「豪華装備全部入り」の高級仕様しかありません。
素晴らしいSKYACTIVE-Dに乗るためには、ドライビングポジションを適正に取るとドライバーからはほどんど見えないサンルーフや、タイヤ代が高くなるばかりの18インチホイール、夏は暑くて冬は冷たい皮シート、まるで後付け社外ナビの様にモニターが迫り立ち、かつ浮いている純正ナビのために高額なお金を出さなければならないのです。
かといって高級車として見ようとしても、故障か思ってしまう程のモーター音のパワーシート、閉まり方が乱暴なパワーウィンドウ、"メッキ感"がぬぐえないホットスタンプのシルバー内装部品がそうさせてくれません。
5ドアハッチバックとして重要な使い勝手をみると、先代からそうだったのですが、Rr席のシート前端からBピラーまでの間隔が狭く、靴のサイズが28cmの私は必ずつま先か踵がぶつかります。
ただし、これは側突安全性能のためにBピラーを太くしたためと考えると我慢できます。

XDからエンジン、トランスミッションと安全装備はそのままで豪華装備を全て取り除いたグレードが出てくることを期待します。