団長さんのSAI の試乗レポート・評価

投稿日： 2017-11-29 19:58:55.0

トヨタ

SAI

2009-12-01 00:00:00.0 発売

このクルマを一言で表すと？

団長
小さな高級＆実力派セダン

このクルマの評価

総合評価
4.3
外観デザイン
4.2

インテリア
4.2

走りやすさ
4.7

SAIについてのオススメポイント

〇数少ない「小さな高級車」
〇室内も必要にして十分な広さ
〇経済性良し、操縦安定性良し

プリウス以後、初のハイブリッドセダンとして登場したSAIですが、これはなかなかどうして実力派セダンと云える車です。車幅は3ナンバーサイズですが、全長を5ナンバーサイズにとどめたことで、都内の入り組んだ道を走るにも痛痒はありません。FFとしては小回りもよく利くので、誰にでも乗りやすい車という点でおすすめできます。

　しかしこの車で注目すべきは「小さな高級車」であることです。あまり認知度の高くない車ではありますが、内装は木目パネルと革を上手に使い（グレードにもよるかと思います）、シートは座面もたっぷりしており、座り心地も良いです。パワーシートで調整幅が大きく、幅広くユーザーの体型に合わせたシートポジションを選ぶことが出来るでしょう。

　操縦安定性については、サスペンションやダンパーは比較的柔らかい方に属すでしょう。しかしこの脚周りが高速道路に入ると、FFの直進性の良さと相まってしっかり路面を掴んで走ります。コーナリングにおいては、ロールは多少あるものの、弱アンダー傾向で安定かつ安全に曲がっていきます。誤解を恐れずに言えば、あまりドライバーを楽しませるハンドリングではありません。この車の性格を考えると、その辺はトヨタの狙い通りなのかもしれません。遮音性も比較的高く、特に脚周りからの音はしっかり抑えています。

　こうした、「質の高さ」で勝負できる車という点で、私はこの車は高級車の一つと言って良いと思います。内装の装備にしても、操縦安定性の高さにしても、ドライバーを変に気負わせずに運転させるという事に寄与していると考えられ、その意味でプログレ以後途絶えていた小さな高級車ではないかと感じています。

SAIについての不満な点

〇後部座席へのエアコン吹き出し口がない点
〇トランクルームが狭い（電池の関係＋リアオーバーハングが短い）
〇最新のものと比べると、やや旧世代化しつつあるハイブリッドシステム

SAIを運転した後の感想

乗る前と乗った後、クルマのイメージは同じでしたか？
運転後の感想について
　内装も、機関系＋脚周りも極めてよく煮詰められています。走ってみると、後期型のやや派手なデザインとは裏腹にとても静かかつ穏やかに運転できる車です。カムリと統合という話も出ているようですが、全長の短いSAIはカムリと比較してもあらゆる場面でとても使いやすいです。クルマとしては、現在のTNGAではないという点で旧世代に入るかもしれませんが、まだまだ実力は落ちていません。
　
　一般道＋高速道路を走行し、それぞれの点で感じたことは以下の通りです。
〇一般道
ボディが比較的軽量という事もあり、この車のパワーユニットをもってすれば周囲の流れをリードできる走り方をします。回生ブレーキのフィールも自然で、突如強い制動がかかるような場面もありませんでした。遮音性が高く、快適にドライブすることが出来ます。やや気になったのは、工事中の路面など大きく荒れているところでは、特にリアが揺すられることがありました。全体的な乗り味や操縦安定性との勘案なのでしょうが、もう少しショックアブソーバーが上手く衝撃を吸収できると、尚良いように思います。

〇高速道路
首都高速でも、このパワーユニットは必要にして十分な加速力をこの車に与えます。ただ、一気に踏み込んで加速しようとすると、すぐにエンジンがまわります、音は決して煩い部類ではありませんが、ややざわついた印象を与えます。コーナリングでは、脚周りの柔らかさは感じますが、穏やかなロール感でコーナーを抜けていく為乗員に不安感を与えるようなものではありません。むしろ、一定のロールをしながらしっかり粘っていく脚周りは独立式の良さと云えるでしょう。もう少しクイックなハンドリングの車にも出来たとは思いますが、このやや緩いハンドリングが、全体としてこの車に穏やかな動きを与えているといえます。